「オーダーメイドとハンドメイド」をテーマに、患者さんお一人お一人に納得の治療を提供いたします。
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強固な結合を得るためにはまず、インプラント表面積の最大化が必要であり、フッ化物で処理したマイクロレベルの粗さを持つチタン表面が歯槽骨の形成を増進させます。このオッセオスピード表面の臨床的利点は実証済みで、多くの実験報告があります。
術後、インプラントの根元部分からの歯槽骨の減少・吸収は長期経過には致命的です。それを防御するためにインプラント頚部には微細なスレッドのマイクロスレッドデザインを採用しており、噛む力に対して歯槽骨頂部での理想的な応力の分散を実現させています。
噛む力は歯槽骨の高い位置に集中することなく、なるべくインプラント体最下部へと広く分散していくのが理想です。それを実現するために、人工歯根部(フィクスチャー)と歯冠部(アバットメント・上部構造)の連結部のデザインにコニカルシールデザインを用いました。また、強固な適合と密着により微小動揺や漏洩を最小限に抑えます。
インプラントの根元部分での歯肉による密封は、口の中の細菌が歯槽骨へと侵入するのを防ぐために重要です。そのためには、インプラントの根元周囲に健康で十分な厚みを持った歯肉が必要不可欠です。コネクティブカウンター(アストラテックインプラント独自の頸部結合部の輪郭)は結合組織(歯肉)の接着部分の高さと量を増やす効果があり、自浄性のある汚れにくい歯肉形態を再現します。また、見た目の良さにも利点があります。
【ASTRA TECH Implant Systemによる辺縁骨の維持】
*5年後の平均的骨レベルの吸収はわずか0.3mm
日本口腔インプラント学会では、インプラント治療を行うにあたり、術者に対して詳細な情報を提示しています。
インプラント治療を希望されている患者様にとって、義歯の選択はどうしても避けたいでしょう。また術者である歯科医師も、せっかくインプラントを希望している患者様に対して、高額な収入をあえて断るのには勇気がいるのです。また、難しい義歯の調整を嫌がる歯科医師もいるかも知れません。
このような、患者と術者のお互いの精神構造が、インプラント治療の禁忌症に対する甘い判断を引き起こし、予後不良の治療結果、さらにはトラブルを生じさせる要因となっていることがあります。
適応症と禁忌症の厳守は、インプラント治療を行うにあたり、安心・安全な手術、特に良好な長期予後のためには、最も重要な要因の一つです。
下記に、重要な禁忌症と要点を挙げますので、参考にしていただけると幸いです。また、現時点での禁忌症の項目の中に、将来は適応となる可能性がある項目もあります。 詳しい判断は、来院の上、遠慮なく相談いただければと思います。
歯槽骨の質:インプラントを維持する骨の強度が必要。
歯槽骨の垂直的および水平的な量:インプラントを保持する十分な量が必要。
インプラント予定部位の健康歯肉の量:術後インプラントへの感染予防のため。
重度歯周病:歯周病改善の後可能になります。重要なのは口腔の清掃に対して前向きなこと。
本数の少なすぎるインプラントによるブリッジ:噛む力、噛み合わせの関係、歯槽骨の量や質等を十分に考慮した設計が必要。
口腔乾燥症:口腔内の細菌感染のリスクが高い。
パラファンクション:歯ぎしり、噛みしめ等の癖による噛み合わせの崩壊。
喫煙:論外(最大の歯周病のリスク、局所的貧血を惹起、感染抵抗力の低下、等)
糖尿病:手術から術後までのすべての状況下での感染リスク。A1c値が7.0未満が基準。また、将来にわたって継続が約束されることが必要。
高血圧:手術時のリスク。降圧剤の服用などによる安定したコントロールが必要。
ステロイド製剤常用者:原因疾患の寛解が必要。
骨粗鬆症:インプラントの固定、維持にリスク。
ピスホスホネート製剤(骨粗鬆症薬)服用者:原則禁忌。十分な期間の休薬と医療連携が必要。
心疾患:手術時のリスク。
血液凝固剤服用:手術時のリスク。医療連携が必要。
脳血管障害:運動麻痺による口腔清掃が不能な場合は禁忌。
顎関節症、開口障害、自己免疫疾患、悪性新生物に対する放射線治療、精神疾患、等。
※口腔インプラント治療指針2016(日本口腔インプラント学会)より抜粋
安心・安全、そして長持ちのためには、お互いに頑張って越えなければいけない壁が数多くあります。1つずつクリアして、口の中から体の健康への一歩を踏み出しましょう。
治療が終了したのち、せっかく勝ち得た口腔内の最適な環境をいつまで維持できるかは、術後の管理がすべてになります。
インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病菌の侵入により再度歯周病に罹患します。また、自分の歯以上にその進行は早いものです。
チェック項目(敵)は2つだけです。
お口全体の
です。
具体的には、口腔内全体の清掃状態と、経年的に徐々に変化する噛み合わせの不均衡のチェックです。最低でも6か月ごとのチェックが必要です。徐々に変化するお口の中のわずかな変化には自分で絶対に気付くことはできません。自分で異変に気付いた時には手遅れの場合が多々あります。
また、インプラント以外の歯を虫歯、歯周病、破折などにより失った場合、それはインプラントの予後、そして口腔内全体にも大きな影響を与えてしまいます。時間もお金も、そして手術に耐え、苦労して得た大切なお口の環境です。絶対に再度失わないように頑張りましょう。比べることはできませんが、それは、必ずあなたの健康の源になるはずです。
「トップダウントリートメント」とは、最終的にどのように治療が終了するのかを、詳細な診断によりあらかじめ決定し、そのゴールに理想的にたどり着くためにどのような処置をどのような手順で行っていくかの設計図を描くことです。
実はインプラント治療に限って行われるものではありません。通常の診療においても当たり前になされなければいけないことなのです。
ただ、インプラント治療時には、これを怠ると安心・安全、そして長期予後に直結して不利を引き起こすのです。
具体的な手順を示します。
このエックス線写真は実寸サイズではありません。
この段階では、上は上顎洞との位置関係、下は神経と血管が走行する下顎管との位置関係を確認し、精密検査へ移行して問題ないかを判断します。
また、インプラント治療の術前に必要な一般歯科治療(虫歯、歯周病、抜歯、等)の計画を立てます。
一般歯科治療の際に用いられるエアータービン・ハンド―ピースの滅菌が周期的に世間の話題になっていますが、インプラント治療に用いられる回転切削器具(コントラアングル・ハンドピースは)は、コンプレッサーからのエアーの供給がない分、コントラ先端付近に付着した唾液や血液を吸い込む現象がさらに大きいため、世界基準のClassB滅菌システム(最高に厳しい基準)が不可欠です。 インプラント治療を行うのであれば、絶対と言って良いと思います。
小型蒸気滅菌器(オートクレーブ)の規格はヨーロッパ規格EN13060に準拠しており、その要件は下記のとおりである。
規格はさらに滅菌対象によってN/S/Bの3つに分かれている。
歯科医院での滅菌には高圧蒸気滅菌が使用されますが、この滅菌力には強いものからClassB>S>Nとクラス分けされており、日本では法的な規制がないため、多くの歯科医院がいまだ比較的安価なClassNを使用しています。ClassB導入の歯科医院の割合は、現在も10%にも満たないと言われています。規制のあるドイツでは80%以上、中国ではほぼ100%との数字があるのに日本は??という状況です。
各Classの比較表を下記に示します。
滅菌前および乾燥時に数回の真空状態を作り出すプレポストバキューム方式。あらゆる種類・形状の被滅菌物を滅菌できる性能を備えています。
非包装または包装(一重・多重)の固形、中腔、多孔性物(衣類など)
包装されたハンドピース、チューブ、ドレープ・ガーゼ、
インプラント用インスツルメントなど
プレポストバキューム方式(数個の真空を作る)
滅菌前および乾燥時に真空状態を作り出すプレポストバキューム方式。滅菌前の真空工程は1回となります。
メーカー特定の対象物:非包装の中腔物、包装された固形物
非包装のハンドピース、バキュームチップ、シリンジノズルなど
包装された持針器、ヘーペルなど
プレポストバキューム方式(1回の真空を作る)
上記と空気の重量の違いを利用して空気除去を行う重力置換式。日本では一般的なクラスですが、用途や被滅菌物の種類には限りがあります。
非包装の固形物(滅菌後直ちに使用)
使用する滅菌器の機能的な問題は大変重要ですが、インプラント治療を行うにあたりClassBを使用しないでも良いと判断している思考のほうが、安心・安全な治療に対してより大きな問題です。
「トップダウントリートメント」により、決定した、治療計画(インプラント体のサイズ、埋入位置、埋入方向の決定)に沿って、手術用のフィクスチャー埋入ガイド装置(サージカルガイドプレート)を作製します。目視ではなく、詳細な診査の結果より作製されたこのガイドに沿って手術を行うことをガイデッドサージェリーと呼称します。
下記に、手術までの手順を示します。
1.サージカルガイドプレートの作製 埋入過形成ドリルの位置と方向をガイドする。 |
2.最終説明・同意の確認 |
3.サージカルプレートの適合を確認・前投薬の処方 |
4.体調の確認 |
5.口腔内消毒 |
6.顔面消毒 |
7.ドレーピング |
8.最終口腔内消毒 |
9.局所麻酔 日本口腔インプラント学会より動画はこちら |
10.歯肉の切開と剥離 |
11.インプラント窩の形成(ガイデッドサージェリー) |
12.フィクスチャー埋入(トップダウントリートメント) |
13.縫合 |
14.止血 |
15.X線による手術結果の確認 |
16.体調の確認と術後の注意 |
17.帰宅 |